生涯自分の歯を健康に保つ事は容易ではないでしょう。しかし簡単あきらめないで欲しいのです。好きなものを美味しく食べられ、人に若々しく見られ、気兼ねなくご家族・お友達とおしゃべりを楽しむことができる、このあたりまえの幸福は健康な歯があってこそだからです。
また、歯の健康は全身健康にも少なからず影響を及ぼすことが明らかになってきています。たとえば歯周病になると、歯ぐきと歯の隙間が広がり、歯周病菌が歯肉から血管内に入り込みやすくなります。そして知らず知らず細菌が身体に入っていくのです。近年の科学の進歩によって予防メインテナンス、特に歯周病の予防が、心筋梗塞や脳梗塞、糖尿病など、多くの日本人を悩ませている深刻な全身疾患の予防につながることがわかってきております。
高梨歯科医院では、そうした口腔疾患が身体に及ぼす様々の影響を重く受け止め、予防歯科に注力し、患者様の健康な毎日を歯科から支える治療を心掛けています。
動脈硬化とは、血管の壁が内側に厚くなり、狭くなって流れが悪くなった状態です。いちばん多いのは、血管の壁にコレステロールなどが沈着して、脂肪の固まりができるケースですが、歯ぐきの炎症部分から血管に入り込んだ歯周病菌が原因になることもあります。細菌が「血小板」を固めてしまうからだといわれています。動脈硬化はご存知の通り、狭心症・心筋梗塞・不整脈・心不全・腎不全・脳卒中など深刻な病気の引き金になります。歯周病の確実な予防が、これらの病気を防ぎ、将来健康に過ごすことにつながります。
脳梗塞の患者さんとそうではない人の血液の中にある歯周病菌の数を調べたところ、患者さんの方が平均1.2倍高いことがわかりました。さらに、症状が重い人に限ると、歯周病菌の量はなんと1.4倍!歯周病菌が血管を詰まらせてしまうことが、脳梗塞の原因になっていると考えられます。正常に血液を循環させるためにも、歯ぐきの炎症を防ぐことが大切なのです。
狭心症と心筋梗塞は、どちらも心臓の筋肉の一部が貧血状態になり正常に動くことができなくなる病です。一時的なものが狭心症、血液の流れが完全に止まってしまうのが心筋梗塞。その原因は動脈硬化があります。心臓の血管がつまっている部分を調べたところ、歯ぐきの炎症がひどい人ほど歯周病菌が高い確率で見つかりました。
糖尿病は、血糖値が高くなってしまい、全身のさまざまな器官に異常を起こす病気です。自覚症状が少なく、気づきにくいのが特徴。重症化し、合併症が現れてきて初めて気づくことが多く、いろいろな合併症になりやすい点は、歯周病と似ています。実は、多くの研究によって、歯周病を治療すると糖尿病患者さんの血糖値が正常に近づく、逆に歯周病が悪化すると血糖値も上がってしまう、というデータが出ています。予備軍を入れると約2,500人が糖尿病だといわれています。生活習慣が気になる人は、自覚症状がなくても、歯科医院での歯周病チェックと予防をお勧めします。
よくいわれる喫煙や年齢よりも、歯周病のほうが早産のリスクを高めてしまいます。歯周病にかかると、炎症を促す物質が血液によって子宮まで運ばれるため、早産や低体重児出産になる可能性を高めてしまうのです。通常よりも早く赤ちゃんが生まれてしまうことで、生後、呼吸や腎機能、肝機能などに障がいが起きる可能性があります。妊娠前から生まれてくる赤ちゃんのために歯周病をコントロールしておきましょう。
誤嚥性肺炎とは、細菌が口から気管に入ることで起こる肺炎です。病気や加齢などにより飲み込む機能や咳をする力が弱くなると、口の中の細菌や逆流した胃液が誤って気管に入りやすくなるために起こります。健康なら多少の誤嚥があっても発症はしませんが、からだの抵抗力が落ちている高齢者や病気の方は発症しやすく危険な病気です。誤嚥性肺炎のリスクを減少させるためには、食前・食後の歯磨きや入れ歯の消毒、むし歯・歯周病のケアをすることで細菌を減らし、口の中を清潔に保つことが欠かせません。